こんにちは。かこかと申します。
最初に簡単な自己紹介をさせてください。
- 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
金属切削の製造技術歴 約20年 - 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
- インドネシア駐在経験あり。インドネシア語検定C級持ってます
- 小さくてもいいからガッツポーズができる人生を目指しています
- 初めて生で見た芸能人はアホの坂田です
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Twitterもやってます。
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今回も本の紹介をしたいと思います。
この本です。
安いニッポン 「価格」が示す停滞 (日経プレミアシリーズ) 中藤 玲 著
私はマクロ経済にも興味があり、昔から少しずつ勉強をしています。
まだまだ勉強しないといけないですが、日本の経済の現状を知るにつけ、
危機感しか感じません。
30年もの間、日本の給料が上がっていないという事実がいろんなところで報道されています。
日本国内にいるとあまりそのことを感じることはないかもしれませんが、
これは世界的に見ても異常なことです。
この本を読んでよりヤバさを感じたので、紹介したいと思います。
- 日本は世界から『安い』と思われている
- なぜ給料が上がらない?
日本は『安い』
ここ数年くらいの話だと思うのすが、外国人観光客がめちゃくちゃ増えましたよね?
コロナによってその光景もほぼ見られなくなってしまいましたが、
私の故郷である京都でも本当にたくさんの外国人観光客を見るようになりました。
なぜこんなにも外国人観光客が増えたのか?
私は不思議に思っていました。
以前から日本が国を挙げて海外に日本の観光をアピールしていましたが、
それが功を奏して来てくれるようになった。
日本の良いところを海外の人が知ってくれるようになった。
そんなことも言われていましたが、私はその説明がしっくり来ませんでした。
国が大々的にやっているとはいえ、宣伝くらいでこんなにも海外から人が来てくれるんだろうか、と。
本書の中ではその答えを
日本が安くなったから
と断定しています。
たとえば東京ディズニーランドの入場料。
曜日や繁忙期かどうかによって差はあるようですが、
今ホームページで見る限りだと、一番安い日でも7900円でした。
私が子供の頃には宝塚ファミリーランドによく連れていってもらいましたが、
はっきりとは覚えてないにせよ、絶対にこんなに高くはなかったので、
ディズニーランドってすげーなー、と思ってしまいます🤗
ここ数年でディズニーランドの入場料が少しずつ高くなってきていて、
私たち庶民が頻繁に行ける金額ではなくなりつつありますよね。
ですが、この金額、世界的に見れば格安の金額なんですね。
アメリカのフロリダにあるディズニーランドは約15000円程度です。
本場アメリカだからでしょ?
と思われるかもしれませんが、少し前まで安さの代名詞だった中国の上海でも
10000円を超えるそうです。
また、これもよく記事で見かけますが、北海道のニセコはもう外国人だらけだそうですね。
不動産を外国人が買い漁っていて、ラーメンが2000円で売られていたりするそうです。
私の経験で言うと、シンガポールに行った時に日本でも有名な一風堂に行きましたが、
ラーメンがめちゃくちゃ高いのに驚きました。
それこそ1700円くらいしたんじゃないかな。
はっきりとした金額は覚えていませんが、800円とか900円くらいならそれほど驚かないのでそれくらいだったと思います。
あと、私が住んでいたインドネシアでもそうです。
東南アジアなんてまだまだ物価が安いんでしょ?
と思われるかもしれませんが全然そんなことはなくて、
それなりの品質の物を買おうと思ったら日本と同じかそれより高かったです。
ユニクロに行った時も、日本より高い金額で売られていました。
下着を買いに行ったのですが、
パンツにこんな金額は出せない。
そう思って買うのをあきらめたくらいです
(日本に一時帰国した時にユニクロで買い溜めしましたけどね😁)
ひと昔前は発展途上国と言われていたような国でも経済が拡大し、
富裕層や中間層と呼ばれる層が増えたこともあると思いますが、
このように海外ではどんどん物価が上がっているにも関わらず、
日本だけは30年も給料が上がらないような状況で、世界から取り残されているのです。
つまり、日本が良い国だからとか、日本人のおもてなしが素晴らしいからという理由もあるのかもしれませんが、海外からの観光客が増えた一番の理由は
日本が安いから
ということなんですね。
なぜ給料が上がらない?
給料が上がらなくても物価も上がらないならそれでもいいんじゃないの?
と思われるかもしれません。
逆にそう思っているから給料が上がらないことや物価が上がらないことに対してあまり危機感を感じないのだとは思います。
日常的にはそれでも問題がないのかもしれませんが、世界の中で日本がどんどん貧乏になっている、と言われれば危機感を感じるのではないでしょうか?
海外からの輸入品の金額はどんどん高くなっていくので、
買いたい物も買えなくなっていくんです。
では、なぜそんなことになっているのでしょうか?
理由は一つではないとは思いますが、考えられるのは
日本人自体が安さに慣れてしまっている
ということがあるのではないかと思います。
物価が上がらないというのと同じく、日本は生産性が低い、という記事もよく目にします。
生産性というのは、簡単に言うと一人が稼ぐお金のことですね。
計算式で書くと
生産性 = 儲け / 出費
で考えるといいですね。
厳密にはもっとちゃんとした定義がありますが、ここではこんな感じで考えてもらえればいいです。
つまり、出費が少なくて儲けが多いほど生産性が高くなるわけです。
これだけ多くの日本人が夜遅くまで働いていて、1か月もの長期間夏休みを取るドイツ人より生産性が低い、というのはよく言われることです。
工場でもそうです。
厳しいコストダウンの要請に応えられるように身を削って頑張っているのに生産性が上がらない。
ですが、さきほどの式からもわかるように、コストダウンが進んでも儲けが出ないと生産性って上がらないんですよね。
分母が小さくなっても分子も同じように小さくなれば生産性は上がりません。
本書の中でも例として挙げられていますが、
アイスのガリガリ君が10円値上げをするのに大々的なCMを打って世間に謝罪しました。
これが世界では驚きをもって捉えられています。
なぜ値上げをするのに謝らないといけないのか。
しかもたった10円なのに・・・
価格以外で商品の差別化ができなくなっているからとか、日本人が自分達の製品に自信を持てなくなっているから、ということが言われることが多いですが、
マーケティングや精神的な理由は私にはわかりません。
ですが、価格を上げることに対して臆病になり過ぎているというのはあると思います。
本書の中でも取り上げられていますが、海外のダイソーは100円均一じゃなくて250円だったりもっと高い金額だったりするそうです。
確かにインドネシアのダイソーもそれくらいの金額だったと思います。
そうなる理由をダイソーの経営層に聞いたところ
「海外では人件費が高くなっているから上げざるを得ない」
ということらしいんですね。
え?
なんで日本は人件費を上げなくていいの?
と思いますよね。私はそう思いましたよ。
日本だって人件費を上げないといけないと思うのですが、
上げなくても成り立っているのが事実のようです。
インドネシアでは政府の指示もあり、毎年10%近くの給料上昇がありました。
それに伴って身近な商品もどんどん上がっていきました。
こないだ値上げしたばっかやん!!
っていうような物でもどんどん上がっていきました。
これこそが経済成長だなと実感した物です。
私は経営者になったことがないので、何をのんきなことを言ってるのか、
と言われてしまうかもしれませんが、
経営者はもっと商品を高く売ることを考えていいと思うんです。
コストダウンは必要だと思いますが、そこで得られた原資を商品価格に転嫁するのではなく、
社員の給料アップに使っていいと思うんですね。
だって社員の給料が上がればいろんな物を買う。
他の会社の人も潤えば、自分の会社の商品だって買ってもらえるはず。
金は天下の周り物とはよく言ったものです。
高いからこそ買ってもらえるというのもあると思うんですね。
良い物を安くという日本中の隅々まで行き届いている考え方は悪いものではないと思うのですが、
それが貧乏根性と言ってもいいくらいに自分たちの足を引っ張り合ってると思います。
良い物は高い。いや、高くていい。
さきほどの式で言うと、コストダウンをちょっとお休みして分母(出費)を下げることに注力するのではなく、
代わりに分子を上げることで生産性を上げた方が多くの人が幸せになれるんじゃないかと思うわけです。