仕事をしていく上で、戦略を立てることはとても大事なことです。
戦略といっても何も会社の行方を占うような大げさなものばかりではありません。
中間管理職の方であれば、自分が管理している課がどこに向かうべきなのか、
何に注力すべきなのかを決めるのも立派で重要な戦略です。
今回は戦略を立てる時の私なりの考え方をいくつかの章に分けて紹介したいと思います。
私は製造業の人間なのでちょっと偏った言い方になっているかもしれませんが、
おそらく製造業以外の業種でも使える考え方だと思うので参考にしてもらえると嬉しいです。
それではいってみましょう。
1.ゴールを決めて宣言する
戦略を立てるためにはまずはゴールを決めないといけません。
そんなん当たり前やんけ!
という声が聞こえてきそうですが、意外とゴールをしっかり決めずに
動き出す人が多いというのが私の印象です。
上司からやれと言われたからとりあえず動き始めたけど、
正直何がゴールかって言われると・・・なんだっけ???
という具合です。
今から自分たちが行動するにあたって、何をゴールとするのかをまずは明確に決めましょう。
ゴールというとイメージするのが難しいかもしれませんが、
そんな時は、何を一番重要視するのか、というイメージで考えてもいいかもしれません。
ただ・・・言葉で言うのは簡単かもしれませんが、
この作業が一番難しいんですよね。
ゴールさえ決められれば仕事の半分は終わったと言ってもいいくらいだと思っています。
なぜゴールを決めることが難しいのかというと、
いろんな人がいろんなことを言うから決められない場合が多いから、
と私は思っています。
Aさんはコストが大事だと言い、
Bさんは在庫削減が大事だと言い、
Cさんはリードタイム削減が大事だと言う
そんな具合です。
皆さんもこんな感じで困った経験、絶対ありますよね。
ですが、ゴールをどこに設定するかによって解決策は変わってきます。
コスト面で言うと正解であっても作業性で言えば不正解だったりします。
学校のテストであれば、自分が頑張りさえすればすべての教科で100点を取れるかもしれませんが、
仕事においてはなかなかそうはいかないですよね。
いろんなことを高い次元でバランスさせないといけないのですが、
まずは考え方の軸、進め方の軸を決めないと活動自体がブレブレになってしまいます。
いやいや、自分の中では軸を決めたつもりでも上司が違うことを言うんだよ、
とか、
ゴールを決めたはずなのにあの人がいつもゴールを動かすから困るんだよ、
という声が聞こえてきそうですね。
ゴールを動かそうとする人は必ず出てきます。
特に新しくやってきた偉いさんなんかはとかく否定しがちで、
そんなことよりこっちを重点的にやりなさい、
というようなことを言ってくることがあります。
でも、そのためにも決めたゴールを宣言することが大事だと思ってます。
「私たちはこういう状態を狙っています」
という明確なゴールを提示された場合、自分の意見と多少違っていたとしても、
それを明確に否定できる人はあまり多くありません。
途中で中途半端なチャチャを入れられてブレてしまわないようにするためにも
ゴールを明確にして宣言しておくことは有効です。
ここまで言っておいて恐縮ですが、
たぶん、こう宣言したところで全員が「いいね!!」とは言ってくれないと思います。
あれはどうする?これは大丈夫なのか?
と、いろんな不安を投げかけてくる人たちがいると思います。
自分は何もアイデアを出さないし、建設的なコメントも言わない。
それだけならまだしも、足りないところばかりネチネチ指摘して批判だけはする。
めっちゃストレスですよね。
それが一構成員であればまだやりようはあるんですが、
上司だったりすると本当に疲れますよね。
おっと、愚痴が出てしまいました。
まあ、そういう人はゼロにはなることはないと思うので、
やり過ごすしかないというのが実情でしょう。
ここは「みんな立場が違うんだから、そんなもんだ」と割り切るしかありませんね。
ただそんな中でもひとつ言えることは、
実はそもそも彼ら自身もゴールがわかっていないということです。
みんななんとなく今が良くないことはわかっている。
何かしないといけないことも感じている。
でも何が問題で、何をやらないといけないのかはよくわかってない。
何から手をつけていいかがわからない・・・
こんな具合です。
ゆえに、何かを言い切る人が現れると、
俺たちがやっていることはそんな簡単に割り切れるもんとちゃうんじゃい!
とばかりに批判的な意見をぶつけてくるわけです。
自分が逆の立場だったら、と想像してみてください。
上司が
自分たちのゴールはここだ!!
って断定的に言い始めたら、同じこと思いませんか?
俺たちはそんなことで悩んでるわけじゃないのに能天気なやつだなー、
って思いませんか???
でも、いや、だからこそ、宣言することが必要なんです。
様々なことに気を張り巡らせる必要があるとは思います。
ですが、私たちが今回目指すゴールはここに設定するんだ、
ここに力をかけていくんだということを表すためです。
自信がないから、とか、誰かが賛同してくれないから、
というような理由で提案を引っ込める必要もないですし、
人の意見に染まる必要もありません。
そもそも仕事の進め方なんて良いの悪いのと誰かが判断してくれるものではありません。
ゆえに、よほどの反対意見が出ない限り、宣言したもん勝ちだと私は思っています。
なので、まずは宣言してしまいましょう。
ここで、ドラッカーのマネジメントの一節を紹介しておきます。
出発点は一つしかない。顧客である。
顧客によって事業は定義される。
(中略)
したがって「顧客は誰かの」の問いこそ、
個々の企業の使命を定義する上でもっとも重要な問いである。
ドラッカーは企業経営のことを述べているので顧客や事業という言葉を使っていますが、
顧客のところを私が言うところのゴールに、
企業や事業のところをプロジェクトや企画という言葉に置き換えて読んでいただいても
わりとすんなり当てはまるのではないでしょうか。
ドラッカーはさらに続けます。
やさしい問いではない。
まして答えのわかりきった問いではない。
しかるに、この問いに対する答えによって企業が自らをどう定義するかがほぼ決まってくる
ゴールというのは人の考え方や時代によって変わるものであり、
唯一普遍の物ではありません。
だからこそ、ドラッカーが言うように問いを定義する、
つまり私流に言うとゴールを宣言することが重要であると私は考えています。
全員の賛同を得ることはとても難しいことであるのは間違いないのですが、
私の経験を少しお話しさせてもらうとすれば、
文句を言われるのは最初だけで、
一度宣言すれば意外とみんなその気になっていくと思いますよ😉
続きはその②に書かせてもらいますね。