仕事

技術オンチになったわけ でも、後悔はしていません

私は製造技術という仕事をしています。
一応、技術者です。

ですが、このブログのタイトルにもなっているように技術オンチです。
技術オンチのくせに技術課の課長をやっています。

なぜこのようなタイトルになっているのかを今回は記事にさせてもらいたいと思います。

自分には技術センスがないと嘆いている技術者の方、
これを読んだら少しは勇気が持てるはずです。

  1. みんな難しいことを考えすぎじゃない?
  2. どうやったらそれをやらなくていいか?と考える
  3. パレートの法則で考えているか?

みんな難しいことを考えすぎじゃない?

私は子供の頃から物を作るのが下手でした。

図工の時間とかは好きだったのですが、決してセンスがあるとは言えない子供でした。

子供の頃は車が嫌いでした。
車酔いしてしまうからです。

そんな私がF1を好きになったのを見て、母親は驚いていました。

ですが、車のことは好きにはなれませんでした。
きっとF1やMoto GPのスポーツ性の部分は好きだったのでしょうけど、
車自体はそんなに好きじゃなかったんでしょうね。

友人にも、F1が好きなのになんでそんなに車に興味がないの?
と言われたこともあります。

とにかく、技術的なことに興味がなかったんです。

だから自分が高専に進んで、そこから工学部、技術系の仕事に就くなんて
昔は思ってもみませんでした。
一番驚いたのは私の親じゃないかと思います。

私の周りを見ても技術的なことが好きでバイクや車をいじったり、
自分で何かを作ったりしている人もいますが、
私は家でゴロゴロしている方が好きです。
車をいじるどころか、洗車すらめんどくさいと思うタイプです。

仕事で必要なことはそれなりに自分で勉強してきたつもりですが、
一歩自分の経験外のこととなると、本当に知識がないのはそれが原因ですね。

なんでそんなことまで知ってるの???
というくらいいろんなことを知ってる人がいますが、
本当にすごいなあと尊敬します。

ただ、そんな私が感じることは、

みんな物事を難しく考えすぎじゃない?

っていうことです。

技術系の人だけではないかもしれませんが、
技術的に難しいことこそ価値があることだと思っている人が多いように思います。

問題が発生した時にも、なぜか真正面から向かっていく人が多いように思います。

もちろん、その姿勢は素晴らしいことですよ。
そうやって問題解決をしていかないといけないことはたくさんあります。
私もそうやってそれなりに問題を解決してきたつもりです。

ですが、私の基本的な考え方は、

どうやってこの問題をやっつけるか、

よりも

どうやったらこの問題と戦わなくて済むか

ということでした。

どうやったらそれをやらなくていいか?と考える

私がいる製造業、特に工場での仕事の場合、
図面に指示されている寸法通りの物を作ることが求められますが、
どうしてもその図面指示が守れないことがたびたびあります。

その原因は設備の故障だったり何か調整がうまくいってなかったり、
ということもありますが、
危険個所を事前に読み取りきれないために発生する問題も多かったです。

たとえばですが、本当は±1㎜でしか作れないにも関わらず、
図面には±0.5㎜と指示されている場合です。
実力をオーバーしているのにそれを抽出しきれていなかったわけです。

そういう場合、多くの人はどうするかというと、
なんとか±0.5㎜に入れようと努力するんですね。

当然と言えば当然です。
工場の人間にとって図面は絶対ですから私もそうしてきました。
理由はどうあれ、なんとかして図面指示を守らないといけないわけです。

ですが、多くの人は±0.5に入れる方法を一生懸命に考えるんですね。
そのためにいろんなことを試します。
それによって経験値は上がっていくのですが、実際には現場の人に無理をさせて
0.5という寸法を守ろうとします。

ですが私の場合は、どうやったらこの寸法から逃げられるか、
と考えるわけです。

図面を±1㎜に変えればいいじゃないかと思うかもしれませんが、
その寸法にも意味があるので、簡単には変えてくれません。

なので多くの人はあきらめて0.5の実力を得るために頑張るのですが、
私は、1㎜でないとできないと説明できる理由を一生懸命考えます。

そのためにデータをたくさん取って、1㎜じゃないと無理なんです、
ということを伝えて図面を変えてもらうように行動してきました。

その製品では無理であったとしても、次の製品ではそれを図面に織り込んでもらうように
理屈を考え、いろいろなデータを集めるんです。

だから技術的には経験値が増えないんですね。

問題をねじ伏せるような技術を追求するよりも、どうやったらそれをやらなくていいか、という言い訳をいろいろ考えるわけです。

そういう意味で私は技術オンチなんです。

パレートの法則で考えているか?

私の考え方は技術者としては褒められたものではないかもしれません。

ですが、私には難しい問題に真正面から戦いを挑むこということが
効率が悪いことに思えて仕方がないんです。

本当にそれが必要であると思えるならばとことん追求する必要があると思いますが、
他に簡単な道があるならば、そっちを選んだ方がいい、というのが私の考え方です。

「パレートの法則」をご存じでしょうか?
8:2の法則と言った方がわかりやすいかもしれません。

たとえば、
その会社の売り上げの8割は全体の2割の製品で稼いでいる
といったように、物事は8:2で語れることが多い、という経験則です。

経験則ではありますが、意外と実際の場面でもそれがあてはまることが多いことから、
一定の信頼性がある法則であると考えられています。

多くの人は100点を目指しますが、
その仕事の利益の8割は2割の重要な作業で構成されている、
ということが言えるので、残りの8割の仕事はやってもあまり効果がない、
というわけです。

あまり点数が取れない大量の小問題を解くよりも、
大きな点数獲得が狙える少数の大問題を解いた方が良い、
というわけです。

ですが、数字で見ればわかるように、8割のあまり効果がない仕事の方が量も多いので、
それをやらないとまるでサボっているかのように思われるわけです。

とはいえ、8割の仕事もやらないといけないのですが、
私の考え方としてはその効果の少ない8割の仕事を効果の大きい2割の仕事の中に
押し込んでしまおう、というなんとも乱暴なやり方なわけです🤣

私は今までこういう考え方で仕事をしてきましたが、
特に損をしたということはないと感じています。

精神論や血の通わないあるべき論、
持っている資源量を考えずに大きな敵に立ち向かっていくということは、
私にとっては竹やりで戦闘機に立ち向かうようなものだと思っています。

上司の人はぜひ、自分の部下が効果の少ない8割に力を注いでいないか、
それによって効果の大きい大事な2割の仕事をおろそかにしていないか、
というのを見てあげてもらいたいと私は思います。

部下は自分が大事と思っていない仕事でも、やれと言われればやるものです。
部下は自分で仕事を選べませんからね。
8割の仕事に取り組ませてしまっているのは上司の責任であるとも言えるのです。

できるだけ8割の仕事はやらないように判断してあげてください。
それは逃げることではなく、理にかなった「当たり前」のことなのですから。

私はこれからも技術オンチでありたいと思っています。

ただ・・・時々恥ずかしい思いをすることもあるので、真似るにしても自己責任でお願いします😂