仕事

転職すべき?それとも残るべき? レッテルを貼った側の人間の意見

今日は、人は働く環境によって変われる、ということを書きたいと思います。

会社員であれば避けては通れない配属ガチャと上司ガチャ。
両方の面で私が経験した「人って環境が大事なんだなぁ」と思った出来事です。

  1. 苦手は経験で補える
  2. 一度貼られたレッテルを自分ではがすのは難しい
  3. まとめ

苦手は経験で補える

私の後輩N君の話です。

N君はとっても優しくていいやつなんですが、弱点の一つが決断力のなさでした。

私からすればもっと簡単に考えればいいのにと思うのですが、
なんでも難しく考えてしまって先に進めず、毎日のように遅くまで仕事をしていました。

自分で考えるだけならまだいいものの、取引先との打ち合わせでも悩んでしまうので、
「またN君タイムが始まったか・・・」
と揶揄されるほどでした。

私も遅くまで仕事をしているN君を何度も支援しようとしましたが、
何を悩んでいるのかを彼に聞いても明確に答えが返ってきませんでした。
解決策が浮かばないというよりは、そもそも何が問題であるかを捉えられていないんだろうな、
という印象でした。

いろいろ聞いていった結果、これが問題なんだなと思って指摘すると、
「僕もそれが問題だと思っていてこうしようと思っていました」
と言うんですね。

だったらさっさとやれよ!!って話ですよね🤣
おおまかな問題点はわかっているのでしょうが、要点を絞り込めないんですね。

また、情報をうまくまとめることも苦手で、とにかく説明するのが下手でした。
報告書を作ったとしても要点がわからず、質問をしても聞きたい答えが返ってこないので、
聞いてるこちらもイライラしてしまいます。
結果、本当は言いたくなかった否定的な言葉を使ってしまって、
私自身も罪悪感を感じることがたびたびありました。

客観的に見て、N君はその仕事が向いているようには見えませんでした。
彼の根本的な考え方が複雑なので、他の仕事をやらせてもダメかなぁ・・・
というレッテルを私もN君に対して無意識に貼ってしまっていたと思います。

そんなN君とは先輩と後輩の関係で数年間一緒に働きました。
大きなPJも一緒にこなし、なんとか成功させることもできました。

その間、何度も彼を叱責しましたが、時間をかけてN君も経験を積んでいきました。

大きなPJが終わってからしばらくすると、N君は違う部署に異動となりました。

おそらくですが、N君が今の部署にいても明るい未来が見えてこないから、
という理由で当時の上司がN君を異動させたのだと思います。

私はN君はこんなだからどこに行ってもあまり活躍はできないだろうな、
と思っていました。

ですが、それから何年かしてN君の新しい部署にいた私の知り合いに
「N君はどうですか?」
と聞いたら、予期せぬ答えが返ってきました。

「いやー、N君にはとても助けられています。
よくあんな優秀な人材を出してくれましたね。
本当に感謝しています!!」
と言われるではありませんか。

正直、「いや~、N君ねぇ・・・まぁねぇ・・・」というようなビミョーな答えが返ってくると思っていたので、
私は驚いてしまいました。

N君が異動した部署は新しい設立された部署だったので、仕事の進め方を理解している人が誰もおらず、
N君の経験値が大いに役立ったようでした。

彼らからすると、私が長年見ていたどんくさいN君の姿はどこにもなく、
経験値の高い優秀な人材と映ったようです。

私はN君との長年の付き合いから、彼にネガティブなレッテルを貼ってしまっていました。
ですが、苦手ながらも時間をかけて経験を積んだ後のN君であれば、
他からの見え方も変わり活躍できる分野に出合うことができたわけです。

一度貼られたレッテルを自分ではがすのは難しい

次はN君とはまったく逆の話で、部下のM君の話です。

私が課長として預かることになった部署にM君は所属していました。

M君とは所属する部署は違いましたが昔から知っていました。
一度だけ直接仕事で絡むことがありましたがその時の印象は、どんくさいヤツだなぁ、
というものでした。

先述のN君と似ていて、問題が何であるかをちゃんと認識できていない印象で、
こちらからの質問に対して的を得た回答をしてくれないんですね。

私の方で解決できる問題だったので、まあMがいなくてもいいや、
くらいの距離感で付き合うようにしていました。

ですが、今度は私がM君の上司となったわけですから、
そのまま放置しておくわけにはいかない立場になってしまいました。

これまでの印象から考えて、こりゃ苦労するなぁ・・・と警戒心を持っていたのですが、
いざ一緒に仕事をしてみると、割としっかりとした考えを持っていることにすぐに気づきました。

確かにどんくさい印象はぬぐえないものの、思っていたほど愚鈍な感じはありませんでした。

そこで私は彼を一段上の役職に昇格させました。
彼に一皮むけてもらいたい、という期待を込めての措置でした。

ですが、周囲の反応はいまいちでした。

おそらくM君のこれまでの仕事ぶりからして昇格させるべきではない、
という風に思っていたのでしょう。
はっきりと口に出す人はいませんでしたが、顔にそう書いてありました。

その時の組織の事情で人が足りなかったということもあり、
私はM君を昇格させました。

どうなることか・・・と心配しましたが、思った以上にM君はしっかりと仕事をこなしてくれました。
何度も言いますが、どんくさいところは変わりませんでしたが、
周りの人たちが言うほど彼は悪くないというのが私の一貫した印象でした。

そうこうしている間に、今度は私が異動することになってしまいました。

私の後任にはさんが就くことになりました。
Aさんはもともとこの部署の出身の人だったので、
M君のことをよく知っている人でした。

Aさんは組織表を見るやいなや、
「なんでM君を昇格させたの?」
とすぐに聞いてきました。
Aさんの口調から、彼を昇格させるべきではなかった、という雰囲気が容易に読み取れました。

私は昇格に至った経緯を丁寧に説明しましたが、Aさんは最後まで納得していない様子でした。
私がN君に貼っていたのと同じレッテルをAさんもM君に貼っているのがよくわかりました。

N君は部署異動をしたわけではないですが、上司(今回の場合は私)が変わることで、
彼の評価が変わったわけですね。

確かに昔はただどんくさいだけだったのかもしれませんが、
時間をかけて経験を積むことでM君は成長していたわけです。

成長する前から知っているAさんはM君にネガティブなレッテルを貼り続けているわけですが、
成長した後のM君しか知らない私にはそのレッテルが見えませんでした。

立場としては真逆だったわけですが、M君とN君の件を通して、
私は両方の立場を経験することができました。

まとめ

N君とM君のエピソードを通して言えることは2つです。

最初の一つは、人は環境が変われば活躍できるフィールドがある、ということ。

N君は異動、M君は上司の交代という環境変化によって今までの低い評価から
高い評価を得られるようになりました。

自分は今の仕事に向いていない
自分は仕事ができないダメなやつだ
と自分に自信が持てない人でも環境を変えればそれまでの経験が評価されることもある、
ということがこのエピソードを通して言えると思います。

もう一つは、人は高く評価されることでさらに成長のスピードが上がる、ということです。

正直、M君もN君もベースになる部分は昔とあまり変わっていないと思います。
お世辞にも要領が良くなったとか、スマートな仕事ぶりができるようになったかというと、
そんなことはないと思います。

もしN君が新人の頃から今の部署で仕事をスタートしていたら、
もし私がM君を新人の頃からずっと見ていたら、
たぶん変わらずネガティブなレッテルを貼られていたと思います。

ですが、経験を積むことによって、昔のN君、M君とは違う人になることができました。
そして、それを評価してもらったことによって自信をつけ、さらに成長のスピードが上がったのだと思います。

「どんな仕事でも3年はやってみろ」
とか、
「今の仕事を続けられないやつは、どこに行っても成功しない」
というような言葉が上司から投げかけられることがあるとよく聞きます。

私はそんなことはないと思います。

仕事の内容、付き合う人、仕事量の多さなど、環境を変えることでうまくいく場合もあります。
なので、そんな上司の言うことを鵜呑みにする必要はありません。
自分に自信が持てない環境にいるのであれば、とっとと転職するというのも大アリだと思います。

ですが、何の経験もしないまま環境を変えてしまうと、いつまで経ってもネガティブなレッテルを貼られ続けるという可能性もあるでしょう。
N君やM君のように、苦手であっても時間をかけて経験を積むことで
他から必要とされる人材に変身することがあるのもまた事実です。

苦手だなあと思っても、経験を積むためだと思って一定期間は働いてみる、
というのも悪い選択肢ではないと思います。

環境を変えるのがいいのか変えない方がいいのか、
どちらが正解だったかは後になってみないとわかりません。
サラリーマンであれば、異動や上司の交代のように自分の意思以外で環境が変わることもありますしね。

だからやっぱり、最後は自分で決めるしかないのでしょうね。
なんか普通の結論になってしまってごめんなさい😁

N君、M君のエピソードが今の自分の環境で悩んでいる人の参考になると嬉しいです。