技術

ミネラルキャストとはなんぞや?

かこか
かこか

こんにちは。かこかと申します。

先週、JIMTOFに行ってきました。

ビッグサイトの前で写真を撮ろうと思ったら・・・


「会場近くでむやみに名刺交換しないでください」

って何度も何度もアナウンスされていたのを聞いて、
そんなことあるんかい、
って思ってたけど、まさか自分がそんなのに接触するとは。
名刺渡さなくてよかった。

そんなことはどうでもいいのですが、今回のJIMTOFの特徴を何回かに分けて報告したいと思います。

まず何より、前回のJIMTOFに比べると各社新しい製品を出してきたなあという印象が強かったです。

前回はコロナ明けということもあったのかもしれないですが特に目新しいこともなく、
とりあえずロボット付けて自働化って言っとけ感が強かったですが、
今回は新しい取り組みが多かったです。

その中の1つがミネラルキャスト。

ミネラルキャストとは、簡単に言うと石を特殊な樹脂で固めた物で、
制振性に優れ(鋳鉄の1/10)、熱による変化にも鈍感なので、
振動や熱を嫌う工作機械のベッドやコラムと相性が良いとされている物です。

密度も鉄の1/3と軽いのですが、剛性も1/3になってしまうので上手に設計してあげないと
その性能をフルに発揮することが難しかったりもします。

ヨーロッパではだいぶ前から使われていたのですが日本では特殊な設備を除いて
ほとんど使われていませんでした。

日本で使われてこなかった理由の1つが日本で製造できないこと。
工場が国内になかったんですよね。

それが佐賀県にある日之出水道機器という会社が国産化を開始したことで
一気に現実的な選択肢として広まってきたのでしょう。

https://hinodesuido.co.jp/update/2022/press-1025.html

マザックなんかは内製をするという発表もしていますので、
にわかに注目が集まってきたと言えるでしょう。

https://newswitch.jp/p/39823

鋳鉄の価格が上がっていますし、鋳造という過酷な作業環境が敬遠されて
作り手がどんどん少なくなってきています。
また、鋳造は大量のCO2を排出するため、環境面でも課題がありますが、
このミネラルキャストは常温で成形されるため、
これらの問題を一気に解決してくれます
(コストの問題はまだ残っているようですが・・・)

まさに工作機械メーカーからすると待ちに待った素材だと言えると思います。

内製を発表したマザックはもちろんこと、他にも
・トーヨーエイテックの研削盤
・神崎高級工機さんのギヤホーニング盤
・NIDECマシンツールの歯研盤
などで使われていました。

特に高い精度が要求される研削盤でその性能が発揮されるからなのかな、
と私は考えていますが、実際のところはどうなんでしょうか?

他にもヨーロッパ系のメーカーは当然のように使っています。
研削盤のStuderやマシニングセンタのHermleなんかは有名ですよね。

工作機械のベッドやコラムなどの構造体に使われるのはもちろん、
こんなところにも使われているんですね。
これは私も初めて知りました。

まだ参考出展ということでしたが、これも日之出水道さんが製作されているようです。
ぜひ一度試してみたいなと思いました。

ただひとつ気になることが、素材の物性が優れていることはよくわかるのだけど、
実際にユーザーが使う時にどこまで性能を発揮するか?
ということですね。

振動が収まるのはいいのですが、本当にビビリが出なくなったりするのか?
そして今までよりも高送りができてサイクルタイムが短縮されて・・・
というような、ユーザーが求める効果を獲得することができるのか、
という点についてはどのメーカーさんも答えてくれませんでした。
そこまで落とし込めて性能を高めることができるのであれば、
もう使わない手はないと思いますね。

 

かこか
かこか

最後に自己紹介をさせてください。
私はこんな人です。

  • 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
  • 金属切削の生産技術歴 約20年
  • 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
  • インドネシア駐在経験あり。インドネシア語検定C級を持ってます
  • 高周波焼入れに関する本を書きました

自己紹介 はじめまして ご訪問いただきましてありがとうございます。 自己紹介させていただきます。 出...

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