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イノベーション この甘美な言葉の危うさ

かこか
かこか

こんにちは。かこかと申します。

今年最初に読んだ本を紹介します。


私はこの本の著者である中野さんが好きで、他の著書も読んだことがあります。
難しい話題をわかりやすく説明してくれるので読みやすいからです。
他にもたくさんありますので、ぜひ読んでみてください。

さて、今回読んだ本はシュンペーター入門ということですが、私もシュンペーターについてはイノベーションという言葉を作った人(?)、というくらいの知識しかありませんでした。

私の会社でも「イノベーションを起こそう」としてさまざまな施策が打たれていますが、そのどれもが的を得ていないと感じていましたし、
そもそもみんなイノベーションという言葉の本当の意味を知ったうえで使っているのだろうか?と疑問に思っていました。

イノベーションというと「革命的な技術革新」というような意味合いで使われることが多く、とにかく今までになかったとっても難しくてめったに発生しない革新的なブレイクスルーであると思われているような気がしています。
ですが、聞きかじった情報を総合するとたぶん本当はそういうことじゃなくて、何かと何かを組み合わせることで今までと違う何かを生み出すということであり、実はもっと身近に発生しうることなんだろうなと思っていました。
本書ではイノベーションのことを新結合であると紹介していますので、そこはそれほど間違った理解ではなかったので、少し安心しました。

また、シュンペーターは創造的破壊という言葉を最初に使った人らしいのですが、
この言葉もビジネスにおいては好んで使われますよね。
イノベーションという言葉も創造的破壊という言葉も激しい競争の中から発生する現象であり、また創造的破壊は新しい新結合を生み出すための必要条件のように思われているところがあると思うのですが、この本では真のイノベーションとは競争の中から生まれてくるのではなく、むしろその逆で競争がない環境でないと生み出されないというのがシュンペーターの本当の意図であると説明しています。

また、新進気鋭のベンチャー企業こそがイノベーションを生み出す源泉であり、フットワークの重い大企業はイノベーションを生み出せないというのが一般的な世間の認識であると思いますが、それもまた逆で、大企業こそがイノベーションを生み出せるのだと言っています。つまり、不確実性がある世界では長期的な視点での投資ができない、ゆえに内部余力がある大企業でないとイノベーションは起こせない、ということです。

では、なぜアメリカではイノベーションが起こっているように見えるのかというと、それは国の科学技術政策や軍事が大いに貢献しているからだということでした。

日本が過去に大いに経済発展した時はシュンペーターの理論通りのことをやっていたのに、シュンペーターと逆のことをやったがゆえに衰退していったという推移を論理立てて説明しているので、けっこう読みごたえがある本ではあるものの、先が気になってしまって一気に読み終えてしまいました。

国の政策となると私にとっては世界が違いすぎるので何とも言えませんが、会社の運営においても役に立つところがたくさんありました。

私なりに咀嚼して要約すると、
イノベーションは起こそうと思って起こすものでもなく湧き出てくるものである
ということと、イノベーションが湧き出てくるような環境を作るのに必要なことは
確率で表すことすらできないような不確実性に直面する中において長期にわたって投資を行うことである
ということです。

イノベーションを起こそうと言う割には目先の利益や償却年数などにこだわるような資源配分をしたり、予測しえない未来を正確に予測できるまでは投資ができないなどの悪しき現状を打破しないとイノベーションは起きないんだろうなと思いましたし、私自身もイノベーションの礎になるような組織運営をしていかないといけないという思いを強くしました。

かこか
かこか

最後に自己紹介をさせてください。
私はこんな人です。

  • 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
  • 金属切削の生産技術歴 約20年
  • 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
  • 海外駐在経験あり
  • 高周波焼入れに関する本を書きました

自己紹介 はじめまして ご訪問いただきましてありがとうございます。 自己紹介させていただきます。 出...

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