今回は人事評価について書きたいと思います。
サラリーマンであれば自分の評価って気になりますよね。
それによってもらえる給料の額が変わってくるとなったらなおさらです。
誰しもが良い評価をもらいたいと思うものの、
なんで俺はこんな評価なの?
あれだけ頑張ったのになんで??
と思ったことも一度や二度じゃないかもしれません。
私は中間管理職をやっていますので、
毎年、部下の人事評価を実施しています。
そこで、どんなことが行われているのかを書きたいと思います。
ただし、このやり方はごく一部の話であり、
皆さんが働いている会社でも同じことが行われているかどうかはわかりません。
俺のところはそんなんじゃない!!
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
その点をご理解いただき、ノークレームでお願いいたします🙄
それではいってみましょう。
- 部署単位で割り当てが決まっている
- 悪い評価は実力通りだけど、良い評価は順番待ち
- 評価をするのは上司もしんどい
部署単位で割り当てが決まっている
結論から先に言ってしまうと、人事評価は実力や成果を反映していない場合が少なくありません。
たとえばですが、A、B、Cという3つのランクで評価されるシステムだとします。
Aが最高、Cが最低です。
その場合、それぞれのランクの配分の割合が決まっています。
普通レベルのBが一番多くて60%程度、残りの40%をAとCで20%ずつ、というような感じです。
上司はこの割合の中に納まるように評価をつけていきます。
かつ、この割合というのは部署単位で決まっているんですね。
だから自分が所属する部署もこの割合で評価がつきますし、
隣の部署も同じ割合でつきます。
場合によっては部署単位、たとえば課単位で評価が付けらた後、
最終的に部で集計し、この割合に納まっていなければ課の評価に戻って調整が行われたりもします。
なので、めちゃくちゃ忙しい部署もCの人が必ず存在するし、
そんなに忙しくない部署でもAの人が存在します。
何も成果を出していないのに普通に仕事をしていてBの人がいるのに、
大きなチャレンジをして失敗した自分はC、なんてこともあります。
忙しさや仕事量だけが評価の基準ではないと思いますが、
やはり労働量や挑戦した過程も評価に入れてもらいたいですよね。
他の部署で毎日定時で帰っているあいつがAで、
なんで毎日夜中まで残業をしている俺がBなんだ、
ということもあると思いますが、そういう仕組みになっているからです。
日本の場合はあまり他人の評価というのを聞くことってないですよね。
同僚や先輩の評価がどうだったか、というのはなんとなく聞きにくいものです。
給料いくらもらってるんですか?
という質問と同じくらい聞きにくいと思います。
ですが、インドネシアの場合は違いましたね。
彼らは自分たちの給与明細をお互いに見せ合うんです。
そして、自分の評価がどうだったかというのも普通に会話するらしいんですね。
Cを付けたスタッフと面談をした時の話です。
彼は普通に考えてCなんてつけるような仕事ぶりではありませんでした。
ですが、どうしても誰かにCを付けないといけないので、
横並びで見た時に一番目立たなかった彼にCを付けました。
そのスタッフに評価を言い渡した時、
「自分がCであるのは受け入れないといけないとは思う。
だけど、あそこの部署の〇〇はなんでBなんだ?
何も成果は出していないし無責任な発言ばかりする。
私はそれが理解できない。」
とはっきりと私に向かって言ってきました。
彼の気持ちは痛いほどわかりました。
ですが、ルールはルールなので仕方がありません。
彼には苦しい言い訳で納得してもらうしかありませんでした。
異なる仕事をしている部署の人たちを同じ基準で評価はできないものです。
サッカー選手と野球選手のどちらに良い評価を与えるのか、
と問われているようなものですから。
だからこういう仕組みを作らないといけないのも理解はできるのです。
ですが、評価される側からしたらやはり納得できないですよね。
悪い評価は実力通りだけど、良い評価は順番待ち
では、上司がどういう手順で評価を決めるか、というところを説明します。
おそらく多くの上司は、まずは悪い評価の人から付けていきます。
なぜなら、悪い評価というのは比較的つけやすいからです。
何かを失敗したとか、思ったより成果が出せなかった、
という悪いことは目につきやすいので評価がしやすいんです。
悪い感情というのは尾を引きやすい、というのもあると思います。
そういうわけで、悪い評価というのは実力通りの場合が多いです。
感覚的ですが、70~80%は実力通りと思っていいと思います。
残りの20~30%の人は先述の通り、決まっている割合に合わせて評価される人たちですね。
もし自分が悪い評価をもらった場合は何かしら上司が自分に対してネガティブな見方をしていると思った方がいいと思います。
その場合も、他の部署の人と比較してはいけません。
あくまで自分の部署の中で相対的に評価がなされるわけですからね。
一方で、良い評価というのは実力通りではないのでしょうか?
私が思うに、実力通りでない場合が多いです。
なぜかというと、良い評価というのは難しいからです。
まず、良いことというのは目につきにくいんです。
誰もが認めるような成果を出す場合はAどころかSがついたりもするでしょうが、
なかなかそれだけの評価をもらえる人は少ないです。
ましてや、良い成果というのは与えられた仕事の内容によっても決まってきます。
目立たない仕事を与えられた場合、それを高いレベルでこなしても目立ちません。
一方、大きなプロジェクトなんかを任されたら、それなりの成熟度であっても目立ちますから、良い評価が得られやすい。
もちろん、普段から評価が高いから大きなプロジェクトを任せてもらえる、という側面もあるとは思いますが、
そんな時にも、もっと彼ならやれるはずだ、とか、あそこはこうした方がよかった、
というような足を引っ張るような感情が評価する側の上司に働きやすいんですね。
このように本当は良い評価なのに良い評価がもらえない、という場合もありますが、
逆に本当は大して良くないのに、そしてそれがわかっているのに良い評価を付けざるを得ない場合もあります。
それはどんな時かというと、その人を昇格させないといけない時です。
日本の社会はなんだかんだ言ってもまだまだ年功序列です。
適齢期になったら昇格させてあげないといけないし、
実力が伴わずに適齢期を過ぎてしまったとしてもご褒美人事のような昇格もあります。
長年頑張ってきたらそろそろ上げてやらないと、というような感じです。
そうなると、そういう人には良い評価を付けてあげないといけない。
実力があって順調に高評価をもらえる人はいいんですが、このようなご褒美人事の場合が苦労するんですよ。
私の同期でもそういう人がいました。
Tさんとしましょう。
私は比較的運が良く、大きなプロジェクトを担当させてもらったこともあって昇格が早い方でした。
課長になったのも平均的な年齢か、それより少し早いくらいで昇格したので、
同期のTが私の部下になったことがありました。
Tには申し訳ないですが、彼はとても管理職になれるような人ではありませんでした。
実力はそれなりにあるんですが、何より自分の考えをきっちり伝えることが下手で、
人との関係性を良好に築き上げていくこともあまり上手ではありませんでした。
ですが、彼の過去の評価を見ると、2年連続でAがついていたんです。
私の目から見ると彼が2年連続でAを取るのは明らかにおかしかったので、私の前任者に聞いてみたところ
「彼を昇格させるためにブーストを使ったんだけどねぇ・・・」
とのことでした。
そういうのをブーストって言うんだなあとちょっと面白かったのですが🤣
このような理由でAランクが与えられることもあるんです。
つまり、適齢期を迎えたTをなんとかして昇格させようという力が働いた、ということです。
なんでそんなやつを管理職にする必要があるんだ、
ずっとBでいいじゃないか、
という見方があるのは当然です。
私自身もそう思いますし、私が上司であれば絶対にを昇格させません。
実際、翌年のTの評価は私が付けたのですが、普通にBにしました
(Tの名誉のために言っておくと、きちんとリーダー業務もこなしてくれたので、
Cを付けるほどパフォーマンスが悪かったわけではありません)。
ですが、先述の通り年功序列を維持せざるを得ないこともあるので、
前任者のような考え方になってしまう場合があるというのもわからないではないです。
私が思うに、良い評価をもらっている人の半分くらいは「ブースト」だと思っています。
逆に言うと、ブーストの時期でなければ、どれだけ良い仕事をしていても良い評価がもらえなかったりもします。
ブーストの順番待ちだったりするわけです。
評価をするのは上司もしんどい
ここまで書いてくればだいたいの人が
「人事評価ってそんなにいい加減なの!?」
と思うと思います。
そうなんです、いい加減なんです。
悪い評価も良い評価も自信を持って付けられる人もいれば、
実力以外の何かによって評価を付けないといけない場合もあるんです。
それがわかっているからこそ、上司も非常に迷うんです。
一番イヤなのは、実力以外の理由で悪い評価をつけないといけない時です。
理由はどうあれ、良い評価をつけるのは別に心は痛みません。
だって本人も喜ぶでしょうから評価を伝える時もそれほど悩みません。
ですが、悪い評価をつけないといけない時というのは、
どうやって伝えれば本人のモチベーションを下げずにいられるだろうか?
なんで俺がこんなに悪い評価なんだ、と逆上されたらなんと説明しようか?
人事評価の仕組みを説明したって納得してくれないだろうな・・・
といろんなことを考えるわけです。
まさに、前に出てきたインドネシア人スタッフがそれですよね。
仕方がないとはいえ、彼には申し訳ないと今でも思っています。
私の会社の場合、悪い評価を付けたことを会社のせいにしてはいけない、
というルールがあります。
悪い評価を付ける場合もきちんと説明しなさいと。
そんなアホな・・・と思いますが、そこは管理職に課せられた責任ですので、
全うするしかありません。
私が悪い評価を伝える時に気を付けていることがあります。
それは、悪い評価の時ほど毅然とした態度できちんと伝える、ということです。
もし、悪い評価を会社のせいにしてもいいというルールがあったとして、
いやぁ、実はこういうルールがあってねぇ・・・
私も本当はこんなことはしたくなかったんだけど・・・
と言い訳をしたところで、悪い評価を付けられた部下にしてみれば関係ありません。
なぜ自分が悪い評価だったのかを知りたいと思うでしょう。
だからこそ、私は悪い評価を伝える時ははっきりと理由を伝えます。
端的に、毅然とした態度で本人の目をしっかり見据えて伝えることにしています。
相手ががっかりした顔をすればするほど感情を上下させないように気をつけます。
何が悪かったかとはっきりと伝え、どうすれば改善されるのか、
どういう風にしてほしいのかを伝えます。
そうじゃないと部下の気持ちがぐちゃぐちゃになってしまうと思うからです。
すべて自分の思ったように部下の評価を付けられればこんなに楽なことはありません。
人間誰しも人から嫌われたくはありませんから、よほどのことがない限り悪い評価をつけようとせず、良い評価の人がたくさん出てくると思います。
また、前述のとおり、異なる仕事をしている部署の人たちを公平に扱うことはほぼ不可能と思います。
このようなことを考えると、このような一見不公平にも思える仕組みが存在するのは仕方がないと言えるでしょう。
皆さんに理解してもらいたいなと思うのは、自分に悪い評価を付けたあのにっくき上司も苦しんでいるんだ、
ということですね。
上司の立場である私としてもそう思っています。
ですが、そんなことはみなさんには関係ないので、
文句の1つや2つは言ってやってもいいと思いますけどね🤣
それを受け止めるのも管理職の重要な仕事ですから。