こんにちは。かこかと申します。
JIMTOF報告のその2です。
今回は自動化について書いてみたいと思います。
前回のJIMTOFもそうでしたが、最近は自動化をキーワードに掲げる企業がたくさんあります。
これからさらに本格化する人手不足に対する解決策として、自動化は確実にメインムーブメントになると思います。
ですが・・・
JIMTOFで出展されていた「自動化」というのはほぼ「搬送の自動化」でしたね。
工作機械にロボットをくっつけてワークの脱着を自動化します、
これで夜も自動運転できます、という類の物が大部分を占めていました。
もちろん、これも自動化です。
決まった作業を繰り返すことはロボットにとって最も得意とする作業であり、
人間でなくてもできますからね。
ですが、技術的には新しさがありません。
いろんな搬送の自動化はありますが、これらは正直、やればできることです。
どれだけのお金をかけるかで差は出てくると思いますが、まあ、やろうと思えばできることです。
ゆえに、各社間で差がつきにくく、代り映えしない印象を持つ人も多いのではないでしょうか。
それに対して、面白い自動化を提唱する企業がありましたので紹介したいと思います。
石川県金沢市にあるアルムという企業です。
ここの会社はアルムコードと呼ばれるNCプログラムをAIを使って自動で生成するシステムを開発されているのですが、JIMTOFでも実演で紹介されていました。
このアルムコードというのは3Dデータがあれば、1クリックでNCプログラムを生成できるというものです。
ものづくりの現場において、1つの製品が出来上がるまでにかかる時間の多くをNCプログラムの作成が占めているという事実から、このシステムの必要性を思いつかれたそうです。
また、既存のCAMを使わずに一からアルムコードにあったシステムを開発しているとのことで、ものづくりソフトウェア後進国の日本にまさかこんな企業があるとは思ってもみませんでした。
➡️お客様より良い質問を頂きました。
「現状CAMを改変したりAPIで繋いだりした方が完全自動化には速いのではないですか」
答えは「いいえ」となります。
なぜなら、CAMの設定や入力ボタン一つにつき、数千の条件分岐やアルゴリズムを開発し、それら全てを繋ぎ合わせることをARUMCODEはやっています。…— Takayuki Hirayama (@0808_rocky) November 20, 2024
私が関わっているような量産の現場では、あまり頻繁にNCプログラムは作りませんし、それほど複雑な形状は多くないので、正直言ってあまり親和性が高くないかな感じています。
ですが、一品物を毎日たくさん作っている試作工場ではNCプログラムをかなりの頻度で作成するでしょうし、複雑な形状の製品を作っている金型工場ではNCプログラムを作るのにかなりの時間を費やしているはずなので、アルムコードは大活躍するのではないかと思います。
このアルムコード、ぜひ一度使ってみたいなと思いました。
聞くところによると、アルムコードだけではなく、TTMCという全自動を具体化した工作機械も作られているそうです。
ソフトだけじゃなくハードもやれるなんて、他にこんな企業あったっけ?という感じですね。
材料を投入するとプログラムを作るところから実際に製品を加工するところまでを自動でやってくれるらしいのですが、これが本当ならまさに夢のマシンですよね。
アルムの社長のポストを読んでいると本質を突いているというか、自動化に対する思想にとても共感できるなあと思う時があります。
たとえばこれですね。
➡️「完全自動化」は今日来た社員が、今日から加工できるようになるレベルの自動化を意味します。材料のバイシング、芯出し、工程設計やNCプログラミングは素人が即日では出来ません。このレベルで「完全自動化」を実現しているのはTTMCのみです。
— Takayuki Hirayama (@0808_rocky) November 21, 2024
単に人を減らしてコストダウンするための手段として自動化を考えるのであれば、うまくいかない場合が多いと思います。
何事においても、何かを構築するにあたってその出発点となる設計思想がとても大切だと思っているのですが、
自動化は働く人の尊厳を大切にするための手段である
ととらえられているところがとても共感できます。
残念ながらポストを見つけることはできませんでしたが、自動化の目的として人が事故に巻き込まれないようにすることだ、というポストも過去にありました。
これを読んだ時には本当におおげさな表現ではなく、感動しました。
技術的にかなり難しいことに取り組まれているので、本当に実現するのかなという心配もありますが、
アルムさんなら成し遂げてくれるんじゃないかと思います。
期待しましょう。
最後に自己紹介をさせてください。
私はこんな人です。
- 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
- 金属切削の生産技術歴 約20年
- 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
- インドネシア駐在経験あり。インドネシア語検定C級を持ってます
- 高周波焼入れに関する本を書きました
- Twitterもやってます https://twitter.com/kakoka_2019
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